HalloweenとSDGs 【SDGs 文化】

   今日は10月31日、Halloween(ハロウィーン)である。今年は46年ぶりに十五夜の満月とHalloweenが同じ日になるそうだ。

   Halloweenの起源は、現在のアイルランド、英国、フランス北部地域に2000年前に暮らしていた古代ケルト人まで遡る。古代ケルトでは11月1日が新年で、前夜の10月31日(AllHallows Eve)から、秋の収穫物を集めた盛大な祭りである「サムハイン(=種まき)」が開かれていた。新年の前夜に、生者と死者の世界の境界が曖昧になって、先祖の霊が戻ってくると信じられていたらしい。

   その後、ローマ帝国やキリスト教の祭りと合わさって、聖なる焚き火やパレード、聖人、天使、悪魔などの衣装を着て、祭りを祝ったものが、現在の仮装パーティに名残を残して世界中でお祝いされている。

   日本でのHalloweenにおける経済効果は、2018年には1240億円であった(一般社団法人日本記念日協会)。この数字は2019年のバレンタインの経済効果の1260億円を見ても、ほとんどバレンタインと同じくらいに日本中に定着していることがわかる。

   “Trick or Treat(お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ)”というセリフは子供がHalloweenの期間中にお菓子をもらい歩く時の決まり文句だ。最近では子供たちに単にお菓子を配るだけでなく、子供たちを中心にお菓子教室を開いたり、ゴミ問題や環境について子供たちと考える機会を設けたりするイベントも各地で広まっている。また、仮装イベントや商店街のHalloweenセールなどの町おこしも訪れる人々と地元住民とのコミュニケーションや地域経済活性化につながっている。

   Halloweenの仮装文化とSDGs活動を融合させたユニークなものもある。昨年の事例では、新潟青年会議所が、「エキナンハロウィンTRICK OR SDGs」と名付けた市民参加型事業を企画し、新潟駅南口の中央広場を貸切って有名人を含む300名のコスプレイヤーとゆるキャラ、そのほか仮装した市民が大集合した。飲食ブースも多数出店したり、夜にはイルミネーションで会場が華やかに演出されるなど大盛況であった。今年は新型コロナの影響で各地で大きなイベントは控えざるを得ず、とても残念ではある。

   本来は収穫を祝ったり、先祖に感謝し死者の魂を弔ったりすることがHalloweenの目的なのだが、起源やこの祭りの意味も知られないまま日本で急速に広まったため、人々はただ仮装してどんちゃん騒ぎをする催しとなってしまった感じがある。渋谷での人がごった返す中でごみを散らかし放題にするといったマナーの悪さや、酒に酔った若者が軽トラックを横転させたり、暴行や痴漢行為、ひいては窃盗まで行なったりすれば、こちらは立派な犯罪行為となってしまったため、過去には逮捕者も出た。楽しく盛り上がることは多いに良いことだが、マナーをきちんと守り、住んでいる人々の町を決して汚さず、ごみは持ち帰るなどの心得は本当に大事なことである。

   楽しく身近な人たちとHalloweenをお祝いしつつ、世界的なSDGsの課題も考えてみてはいかがだろうか? SDGsの17目標のアイコンのHalloweenバージョンがあるのでご紹介しておきたい。万が一2030年までにSDGsの目標が達成できなかった場合の世界がデザインされているところがユーモアがあって面白い。

(出典:UNIVERSAL POSTAL UNION 万国郵便連合https://twitter.com/UPU_UN/status/1189953957864648705/photo/1

パンチョス萩原(Soiコラムライター)

参照:

History.com

https://www.nvcb.or.jp/eventcalendar/000935.html

新潟市公式観光情報サイト エキナンハロウィン

https://www.nvcb.or.jp/eventcalendar/000935.html