つかう責任 【SDGs ごみ問題】

   昨日のコラムは、私たちが暮らしている環境に「コロナごみ」が増えてきたという話であったが、それと比較にならないほど膨大なごみが不法投棄やポイ捨てされている実態は、メディ、環境省や各都道府県のHPに掲載され、捨てる人たちに注意喚起している。

   実際、産業廃棄物であれ、それ以外の一般廃棄物であれ、不法投棄やポイ捨て、または廃棄方法を無視して不適正処理をした人は、環境大臣が定めている「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」によって処罰の対象となる。罰則規定にはさまざまな種類があるが、例えば第16条の「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」に違反した場合は、「5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこの併科」となっている。コロナ禍では「せめて近くのバーベキューができる公園や河原で少人数で楽しもう」、なんていう家族やグループが増えているが、ごみをその場に放置したとたんにこの罰則が適用されることになるので、とんでもなく高い代価を払うバーベキューになりかねない。

   環境省の報道発表データによると、平成30年の一年で新たに発生した産業廃棄物の不法投棄量は15.7万トン、未処理のままの放置されている廃棄物の残存量は1561万トンにも及んでいる。旅客機に例えると、約5万機、普通乗用車では約1千万台に相当する産業廃棄物が、今も日本の山、河川、都市部など至る所に放置されていることになる。不法に投棄された一般家庭ごみやポイ捨ても合わせると、相当なものになっている。

   これらの産廃や家庭ごみを無断で捨てる人や業者は、あえてなかなか見つけづらい山奥や地中に廃棄するために、処理にものすごい手間とコストがかかってしまう。不条理な話としては、不法投棄された山や空き地の所有者にも処理費用を払う義務が発生する場合があり、捨てられた方は処理費用や不動産価値下落の憂き目にあい、たまったものではない。里山の貴重な生態系にも影響を及ぼす不法な廃棄物を何としても減らしていく必要がある。

   まずはごみの捨て方やリサイクル方法の理解と実践、そして絶対にポイ捨てなどしないプライドを持ち、普段の生活を送ることから始めたい。

   しかしながら、「不法投棄をなくそう」という問題は、「ごみをいかにして出さないようにするか」ということをまず考える必要があると思う。これには不法投棄されているごみだけでなく、普段、ごみ回収車によって適正に処理されるごみも含まれる。解決策の一つはリサイクルとして循環させることためにできる限り分別してごみを出すことがあるが、いずれごみとして廃棄するような不要なものを買わない行動や、環境に配慮したり、地域の産業発展のためになるものを買うという「エシカル消費」に努めるということも方法のひとつだ。

   本当に必要なものを買えば、長く使うし、ごみとして廃棄されることもない。安いからと言って100均で衝動買いしたものはすぐに飽きたり、生活で使わなくなったりして捨ててしまうことも多い。「断捨離」がブームになるのは、それだけ不要なものが家に溢れているということの裏返しであるが、そもそも生活に必要なものだけが家にあれば、それ以上買う必要もないし、経済的だ。また買ってきては捨てるを繰り返す膨大な時間的ロスも節約できるし、ものを長く使えば愛着も湧いて精神的にもプラスだ。

   生産者側も将来捨てられるだけの粗末なものを作るのではなく、長く愛されて各家庭で使われるとなればモチベーションも上がり、特に先進国の大量消費が減れば 森林樹木の過剰な伐採、海洋資源の過剰な乱獲の地球環境負荷も減るし、強制労働などの多くも課題も解決できるようになっていく。

   SDGs 12番目の目標「つくる責任 つかう責任」のターゲット12.5に、「2030年までに、予防、削減、リサイクル、および再利用(リユース)により廃棄物の排出量を大幅に削減する。」がある。一般的な日本人が一日に出すごみの量や920グラム、約1キロだ(環境省)。まずは生活と消費を見直し、今日から本当に必要なものを必要なだけ買うことを目指し、ごみを極力出さないように生活を改善していきたい。

 

パンチョス萩原 (Soiコラムライター)