三方よしの「ESG金融」 【SDGs 経済成長】

   甲子園球場が17000個も入る巨大な湖が県の面積の6分の1を占め、国宝の彦根城や長浜ラーメンが有名な県、と言えば滋賀県である。関東圏の人々から見ると「ローカルな県」というイメージが強い印象だが、経済はとても活発だ。内閣府の調査ランキングでは、県内総生産に占める、加工・商品化などの第2次産業の割合(45.2%)と、県内総生産に占める製造業の割合(41.1%)ともに全国1位である。そのため、滋賀県が全国で抜きんでて出荷額が一番なものも多く、例として挙げれば、繊維業では、プレスフェルト生地や不織布、印刷業では凸版印刷物、化学工業ではセルロース系接着剤、プラスチック系接着剤などがある(経済産業省調査)。あまり目立たないが、滋賀県は日本人の生活に密接な製品を加工・商品化している工業県なのだ。

   そんな滋賀県の産業を支える金融機関の滋賀銀行(大津市浜町 取締役頭取 高橋 祥二郎)は、近年SDGs推進において非常に真面目に取り組み、持続可能な社会のためのユニークな金融商品も生み出してきた。2018年12月には、全国の金融機関として初めて政府のSDGs推進本部から「ジャパンSDGsアワード」の特別賞「SDGsパートナーシップ賞」を受賞している。この賞は、本業を通じ、パートナーシップを重視したSDGsの推進に取り組む企業に送られるもので、滋賀銀行の地域へのSDGs推進の取り組みが評価されたものである。

   滋賀銀行(通称しがぎん)は、近江商人の「三方よし」の精神を大事にする地方銀行として、従来より「地域社会・地球環境・役職員との共存共栄」の実現をCSR憲章に掲げて経営理念としてきた。その精神から2017年11月には「しがぎんSDGs宣言」を表明し、”お金の流れで社会を変える”と言うテーマを掲げ、金融を通じた社会的課題解決の取り組みで地域に変革をもたらそうとしているのだ。

   しがぎんのユニークな金融商品の一部を簡単に紹介すると、

  • ニュービジネスサポート資金(SDGsプラン)

取引先の社会的課題解決に向けたビジネス創出を資金面で支援する融資商品(ローン)で、社会的課題解決を基点とするアウトサイド・イン(銀行が外側から企業の内側の取り組みを評価すること)の視点で、SDGsに貢献する新規事業に取り組まれるお取引先に対し、最大1億円を、所定の金利から最大0.3%優遇して融資する

  • ニュービジネス奨励金「SDGs賞」新設

起業家育成を目的に、2000年から開講している「サタデー起業塾」。その中で、受講生の優秀なビジネスプランを表彰する「しがぎん野の花賞」に、社会的課題解決を基点とするビジネスモデルを評価する特別賞「SDGs賞」を新設

  • SDGs私募債「つながり」 …2018年9月取扱開始

2014年に取扱開始したCSR私募債を刷新。私募債発行企業に当行独自の「SDGs賛同書」を提出することでSDGsの普及を促進。私募債発行額の0.2%相当をしがぎんが拠出し、学校等に子どもたちの成長を支援する物品を寄贈したり、社会的課題解決を目指す認定NPO法人等に活動資金を寄付。

  • SDGsでつながるビジネス「エコビジネスマッチングフェア」

取引先の環境ビジネス拡大を支援している「しがぎんエコビジネスマッチングフェア」。「SDGs」をテーマに取り入れ、出展企業・ご来場の皆さまと持続可能な社会に向けた思いを共有できる場として開催した

  • 「誰一人取り残さない」住宅ローンLGBT対応開始

住宅ローンの申込みをする際の「配偶者」の基準に「同性パートナー」を含める取り組みを開始。性別や性的指向、性自認等に関係なく、誰もがありのままに自分らしく生活できる地域づくりに貢献する

   上記に加えて、しがぎんは昨年、環境保護などにつながる目標の達成度に応じて貸出金利を優遇する新たな融資「サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)」を開始した。ESG(環境・社会・企業統治)金融を加速することで、地域で持続可能な経営を普及させる目的だ。スキームは、融資先企業との間で、廃棄物処理でのリサイクル率や温室効果ガス排出量の削減などの目標をあらかじめ設定し、毎年成果を検証して、基準金利から一定の幅で上げ下げを決める。達成できなければ、金利が上がることもあり、企業はESGやSDGsの課題に真剣に取り組むことで環境と自社の経営の向上が可能になる。このローンは、その適格性に関して、国際的な第三者評価機関であるDNV GLによる公平な検証を受ける。しがぎんはローンの融資により、融資先企業の「伴走者」になり、近江商人の売り手、買い手、世間の「三方よし」の実現を目指す。

   すでに内陸工業県で全国1位の滋賀県であるが、持続可能な社会と環境保護を目指す企業を支援し、金利を優遇するといった画期的な「ESG金融」という分野を切り開いたしがぎんによって、今後ますます滋賀県の工業は発展していくであろう。

参照:滋賀銀行HP     https://www.shigagin.com/news/topix/1883/

https://www.shigagin.com/about/sdgs.html

 

 

パンチョス萩原 (Soiコラムライター)